仮想通貨から学ぶ上昇トレンドにエントリーするときの注意点

前回の記事では、株の上昇トレンドにエントリーする際には30%の値下がりを想定しなければならないことを説明しました。それでは、そのルールをビットコインを代表とした仮想通貨に置き換えてみるとどのようになるでしょうか?

ここでは、仮想通貨の検証結果をもとに、その他の投資対象にエントリーする際の注意点を整理してみたいと思います。検証する仮想通貨は2018年7月時点で時価総額が高い下記5つで検証しました。

検証する仮想通貨

  1. ビットコイン(Bitcoin)
  2. イーサリアム(Ethereum)
  3. リップル(XRP)
  4. ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)
  5. イオス(EOS)

※この記事では前回の記事で説明したことには触れないので、よろしければ前回の記事から確認してもらうと良いかもしれません。

⇒前回の記事はこちら

目次

取引ルール

前回の検証結果によると、株の上昇トレンドにエントリーする場合は過去最高値から30%の下落を想定しなければいけませんでした。株価が暴騰していく場合は30%以内の下落を繰り返しながら上昇していくという特徴があるようです。

それではビットコインを始めとする仮想通貨にエントリーする際はどのような点に気をつければ良いでしょうか?

結論から言うと、仮想通貨の場合は50%の下落率を想定しなければならないようです。

実際にそれぞれの仮想通貨のチャートをみて確認していきましょう。

ビットコイン(Bitcoin)

時価総額:15兆6630億円(2018/7)

まずはビットコインです。上のグラフは過去2年のチャートを示しています。

グラフの見方を説明すると、青線が価格、オレンジ線が過去最高値からの割合です。オレンジ線が0.7の時は過去最高値から30%価格が下落したことを示します。

赤い点線が今回の取引ルールで規定している下落率50%のラインです。

青い領域は下落率50%を下回っていない領域で、上昇トレンドの領域になります。一方、赤い領域は下落率50%を1度でも下回ってしまったので、今回のルールでは上昇トレンドではない領域になります。

ビットコインの上昇相場にエントリーする場合は50%の下落リスクを考慮してエントリーする必要があったようです。グラフをみても分かりますが、20%~40%下落する時期は数か月に一度は発生しています。

下落リスクを把握せずにエントリーしてしまうと、高い値段で買わされ、低い値段で売らされることになってしまいます。

イーサリアム(Ethereum)

>時価総額:5兆2260億円(2018/7)

次にイーサリアムです。

ビットコインと同様に下落率50%を切った後は上昇相場は終了しているようです。

リップル(XRP)

時価総額:1兆9730億円(2018/7)

リップルに関しても同様のことが言えそうです。下落率50%以内で上昇相場が続いています。

ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)

時価総額:1兆5830億円(2018/7)

ビットコインキャッシュの場合は少し特殊です。一度は過去最高値から50%下落し、上昇トレンドは一度終了しましたが、その後再び過去の最高値を更新したため上昇トレンドに入っています。2回目の上昇トレンドでは下落率50%以内で上昇しています。それ以降は再び50%下落したため、上昇トレンドは終了しています。

イオス(EOS)

時価総額:8240億円(2018/7)

イオスの場合は今回の取引ルールに当てはめるのには少し無理があるようです。50%以上下落した場合でも再び上昇相場に入っているケースも見られます。

イオスはこの記事を書いている時点で、仮想通貨時価総額ランキング5位です。ビットコインやイーサリアムに比べるとやはり時価総額も低いし、信頼性も低いと考えられます。その分だけ大きな下落率を想定する必要があるとも言えます。

投資対象とリスクの関係

ここで投資対象とリスクの関係を考えてみたいと思います。株の場合は想定すべき下落率は30%でした。冒頭で仮想通貨の想定すべき下落率は50%と説明しましたが、実は仮想通貨の中でも想定すべき下落率が少し異なることに気づきます。

例えばビットコインのチャートを見ると下落率の想定は50%でなく40%でも良さそうですね。

このように想定すべき下落率をそれぞれの仮想通貨で規定する下記のようになります。

想定すべき下落率はチャートから後付け決めたのですが、面白いことに時価総額と想定すべき下落率には相関関係があることが分かります。つまり、時価総額が高いものは信頼度が高いため想定すべき下落率も低くて良いということが読み取れます。

これをグラフにすると下記のようなイメージになります。

当たり前といえば当たり前なのですが、投資対象のリスクが高いものほど想定すべき下落率は高く設定すべきだということになります。

まとめと今後

今回の検証では、投資対象と想定リスクの関係についてみてきました。投資対象と想定リスクに相関があること自体は珍しくないことですが、想定リスクを数値として算出できたのは大きいことだと思います。

具体的には株の場合は30%、ビットコインは40%、その他の仮想通貨なら50%というふうに考えることができます。しかし、これはあくまで上昇相場にエントリーするときに想定すべき下落率です。通常の取引ではまた別の検証を行う必要があります。

今回のルールを適用すると、残念ながら現在の仮想通貨は上昇相場ではありません。世の中に様々な投資対象があるなか、あえて仮想通貨にこだわる必要はないと考えています。もし、過去最高値を超えることがあればその時にエントリーするか否かを判断しても良いと思います。

今後他の投資対象の上昇相場にエントリーするチャンスがある場合は、まず想定すべき下落率を推定しましょう。その投資対象が株であれば30%程度で良いでしょう。

今までとは未知の投資対象であっても株やビットコインと比べて信頼度はどうなのか比較すると想定すべき下落率を推定することができそうです。

例えばとある投資対象がビットコイン程度と同じ信頼度・リスクであれば想定下落率を40%としておきましょう。100万円投資するなら40万円まで下落することがあるということになります。

上昇相場には夢があり、数か月から数年で資産を数倍から数十倍にすることも可能です。できるだけ勝率を上げるために今回の検証結果を利用して頂ければと思います。

 

 

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