株やFXで儲けている人がいる一方で、多くの人が損をしています。その大きな原因の1つとしてはリスク管理ができていないことがあげられます。どの程度の利益や損失を見込んでいて、どの程度の勝率なのか?これを把握せずに取引を行うと、長期的に見ればほぼ100%の確率で破産します。
この破産確率を示したのがバルサラの破産確率表です。この記事ではバルサラの破産確率表の詳しい説明は行いませんが、それよりも重要な破産するまでの過程を説明していきます。
バルサラの破産確率表はいわばリスク管理の最終系なので、これが完全に理解できている人はリスク管理ができる人であると言えます。
しかし、このバルサラの破産確率表に至るまでの過程を理解していないと十分なリスク管理ができないでしょう。
むしろ自分自身でこの破産確率表を作成できるくらいのスキルがあるくらいが望ましいと思います。
この記事ではバルサラの破産確率表に至るまでの過程を説明します。ここの記事の内容を理解して頂ければ、リスク管理スキルもかなり上がると思いますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
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トレードの基本姿勢
まずトレードを行う際の基本姿勢ですが、取引のルールを決めることが何より重要です。チャートを眺めて何となくエントリーする人もいるかと思いますが、これは負ける典型的なパターンです。
エントリーする時点で、自分がどの程度の利益を見込んでいて、損切ラインはどのくらいかを把握し、どの程度の勝率で勝てるのかを把握しておく必要があります。エントリーする際のポイントを整理すると以下の3点になります。
- 想定している利益
- 想定している損益
- 想定している勝率
少なくともこの3つが分からなければ、破産リスクを算出する術がありません。
取引ルールが明確になっていない方は、まず、取引ルールの作成や検証に時間をかけるようにしましょう。一攫千金を狙うならばそれでも良いかもしれませんが、長期的に見れば破産リスクを把握せずに取引を行っていることになるので、破産する確率が高くなってしまいます。
破産リスクのシミュレーション
それでは早速破産リスクのシミュレーションを行っていきましょう。例として元本100万円が用意してあります。今回は4種類の取引ルールに基づいて取引を行った時のリスクを見ていきたいと思います。
ケース1
ケース1の取引ルールとしてはエントリーしてから1万円利益が出れば確定、1万円の損失がでれば損切する方法です。この場合勝率は50%とします。
さきほどのエントリーする際のポイントを今回のケースに当てはめてると下のようになります。
このルールで1000回取引した場合どのように資産変動するでしょうか?
シミュレーション結果の一例がこちらになります。
いかがでしょうか?当然勝率50%なので100万円を行ったり来たりしていますね。ここまでは誰でも想像できたことだと思います。
ここで重要なポイントは最大損失がどの程度あるかを知ることです。このケースの場合は80万円まで元本が値下がりしています。取引においてはこの最大損失を把握することが重要になります。
ケース2
ケース2の取引ルールはケース1よりもリスクを大きくして、エントリーしてから5万円利益が出れば確定、5万円の損失がでれば損切する方法です。この場合の勝率も50%とします。
取引ルールは下記のようになります。
シミュレーション結果の一例がこちらになります。
ケース1と同じように100万円を行ったり来たりするのですが、変動の幅が大きくなっています。ほとんど資産がなくなるときもあれば、資産が250万円になるときもあります。今回のケースのように元本の5%で取引を続けることはリスクが高いことが読み取れます。
ケース3
ケース1とケース2では勝率が50%でした。ここでエントリーする際にコツをつかんだとして勝率が53%になったとします。ケース2と同様に元本の5%の利幅で取引することを考えます。この場合どのような取引の推移になるでしょうか?
取引ルールは下記の通りです。
シミュレーション結果の一例がこちらになります。
53%の勝率でも最終的には資産が400万円にまで増えています。しかし、資産の推移を見ると本当に取引は上手くいくのでしょうか?
一時的には資産が0に近い状態になっています。普通の人であればこんなに資産が目減りしているのであれば途中で取引をやめるでしょう。今回のケースは本来であれば勝てる取引方法にも関わらず、最大リスクを考慮できていなかったために、破産してしまうケースです。
ケース4
最後にリスク管理ができている取引例を紹介します。ケース3の場合は元本に対する取引の割合は5%でしたが、今回は2%にしてみます。取引ルールは下記の通りになります。
また、今回はシミュレーション10回分のグラフを重ね書きすることにしました。
10回分どれをとっても最終的には資産が増えていることが読み取れます。この取引ルールだと概ね順調に資産が増えていきそうです。
ただし、3回目のシミュレーションでは一時資産が半分になり50万円まで下落してしまっているので、最大50万円の損失を覚悟しなければならないでしょう。それが耐えられないのならば、さらに元本に対する取引の割合を減らす等の工夫が必要になります。
まとめ
今回は4つのケースのみシミュレーションを行いましたが、これを様々なパターンに合わせて破産確率を算出したものがバルサラの破産確率表と考えてもらって問題ないです。
大切なことは最大リスクを把握することです。それを知るための手法は何であっても良いと思います。
一般的な人は元本に対する取引量の割合が高いように思います。この割合(リスク)を下げれば下げるほど破産確率は減ります。当然、利益も減ることになりますが、破産は第一優先で避けるべきです。
FXはハイリスク、ハイリターンと言われていますが、これは自らの取引スタイルでローリスク、ローリターンの領域に持っていくことが可能です。長期的に勝ち続けるためにはローリスク、ローリターンの領域で取引を行う必要があるでしょう。
このシミュレーションはエクセルで行ったものです。
次の記事ではエクセルでこのシミュレーションができる方法を紹介しています。
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